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2006年7月 5日 (水)

後宮小説 -酒見 賢一

Book 後宮小説

著者:酒見 賢一
販売元:新潮社
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「うしろのみやしょうせつ」と、最初読んだくらいに初心だった頃

 忙しい農家の生活のなかで、その合間をぬうように母は内職で着物の仕立てをし、ときおりこっそり、お菓子を買ったりしてくれました。

 あれは中学生の頃、その呉服屋さんに行った帰りか、お正月の買い物のときか覚えていませんが、本屋で母が、本を買ってくれるといいました。

 当時、私にとってハードカバーは憧れで、自分のおこづかいで買うことはもちろん、買い与えられることもありませんでしたから、どれにしようか迷った挙句、新刊本だった「後宮小説」を手にとりました。

 理由は「第一回ファンタジーノベル賞受賞作」だったから。中国文学ちっくなところも気に入ったから。

 けれど、母はちょっと眉をひそめ、本当にそれでいいのか、と何度も念を押しました。

 あまりに何度も言うので不思議になったことを覚えています。

 

 家に帰り、さっそく読み始めたら、ある文章で疑問がわきました。

 それはとある死に方で死んだらしい帝は心臓麻痺として発表されたという文章でした。

 その死に方の意味たるものを当時は薄々としか知りません。

 私が思っているような死に方じゃないのか? 

 ここに書いてあるとおり、本当は心臓麻痺の事だったのか?

 で、近くにいた母に聞きました。

 「お母さん、腹上死ってなあに?」

 母は顔をそむけ、怒ったように「そういうこともあるんだよ」と言うばかりです。

 きちんと答えてくれない母に再度、「腹上死って心臓麻痺と違うよね?」と聞くと、

 「違うに決まっているでしょ」と、もっと怒ります。

 何故、怒られるのかわからないまま読み進んだら、その何ページ目か後に、主人公がやはり父親に同じ事を質問する場面がありました。

 しまった。質問するんじゃなかった。そう思いました。

 

 念のため、「後宮小説」は、極上かつ笑える、そして、あくまでファンタジー小説です。

 母に、そう言ったとしても、きっと信じてはもらえなかっただろうけど。

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