« 北原白秋詩集 -北原白秋 | トップページ | スニーカーズ »

2006年11月 9日 (木)

タイガーと呼ばれた子 -トリイ・ヘイデン

<トリイ・へイデン文庫>タイガーと呼ばれた子--愛に飢えたある少女の物語 Book <トリイ・へイデン文庫>タイガーと呼ばれた子--愛に飢えたある少女の物語

著者:トリイ・ヘイデン
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

著者もまた、痛々しい

  昔、特殊学級に通う児童と接する機会が多い職場にいました。
 彼らとコミュニケーションをとるのは確かになれるまでとまどいました。正直、最初は腫れ物に触るようだったと思います。

 けれど、一度なれてしまうと、下手に感情を隠してしまう子供に比べてなんて愛らしいことか。その、まっすぐな眼はなんて正直なことか。

 間違っている事は間違ってる。疑問に思った事は聞いてくる。
 その素直さに感嘆し、聞かれた事はなるべく答えました。子供むけの答えでなく、思った事を答えると、不思議と彼らは納得してくれました。

 そんな彼らも癇癪をおこしたり、何か意地になったりするともう、意思の疎通ができなくなる。その姿をみるたびに、何もわかってあげられない自分が悲しくなりました。

 わからないという事だけわかっているだけ、まだまし。知り合いで、知的障害者や情緒障害者用の施設に勤めている人はそう言っていましたが、それでもやはり、少しだけ悲しい。

 

 トリイ・ヘイデンは、情緒障害の生徒をうけもつカウンセラーです。
 彼女の書く話はだから、実体験が元にはなっていますが、でも立派な小説です。

 自分がうけもった生徒を、ドキュメンタリーのようでなく指導する者の目線で描写しながら、なおかつ、生徒に対して何もできないことにいきどおり、相手の態度にとまどい、そして自身の生活にも悩んでいる自分を客観的にきちんと書いてあります。

 

 だから、痛々しいほどに繊細な生徒に対するトリイもまた痛々しいほどまっすぐで、私は彼女の作品を読むたびに、同じようにまっすぐだった、かつて出会った子達を思い出させられます。

 元気だろうか、笑っているだろうか、幸せだといいな、としみじみ思います。

|

« 北原白秋詩集 -北原白秋 | トップページ | スニーカーズ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/36039/4118004

この記事へのトラックバック一覧です: タイガーと呼ばれた子 -トリイ・ヘイデン:

« 北原白秋詩集 -北原白秋 | トップページ | スニーカーズ »