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2006年11月22日 (水)

子どものための美しい国 -ヤヌシュ・コルチャック

タイトルからして儚い

 「コルチャック先生」という映画にもなった、ヤヌシュ・コルチャックは、「子どもの権利条約」の基盤を作った方です。彼は孤児院の院長として子ども達と共に生き、ユダヤ人収容所に連行される子ども達を最後まで見捨てず、彼らともにガス室にて生涯を終えました。

 彼が書いた「子どものための美しい国」は児童文学ですが、決して甘い夢物語ではありません。

 それは、子どもが持つ美しい理想を現実にしようとがんばった、少年の物語。

 主人公は、お父さんの後を継いで国王になったマット少年。「大人と子どもの理想郷」としての国をつくろうと、子ども議会を作ったり、大人相手に、きちんと子どもの意見を伝えるマットは本当に勇猛果敢で行動力抜群です。

 けれど、自分の理想が、他の人にとっても理想とは限らない。理想を同じくしていたって具体的なその中身は大きく違うことを、マットはじわじわ味わうことになる。

 子ども達の無邪気な願いが、権力によって、大人の邪気だらけの欲望とイコールになる後半。その怖さは、ホラーどころではありません。

 それでも最後まで、マットは完全には絶望はしない。せめてもの救いです。

 理想を現実にするのは本当に難しい。けれど、理想を現実にしようとチャレンジすること、それ自体は決してあきらめちゃいけない。

 つらい本ですが、重い本ですが、おすすめです。

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