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2007年6月14日 (木)

シナン -夢枕 獏

シナン (上) Book シナン (上)

著者:夢枕 獏
販売元:中央公論新社
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それは天上に昇る無数の泡

 イスラム圏の建築物、あの特徴あるドーム型の屋根は、アラビアン・ナイトのアニメ世界のイメージしかありませんでした。

 大人になって、内部の幾何学模様やさまざまなタイルを、芸術品として「美しい」と感じる今も、あの建物に特別な感慨がないのは、実物をまともにみたことがないからかもしれません。

 

 モスク。正しくは、ジャーミーとよばれる神殿のあの形は、神をより完全にとらえるためだ、と、シナンはこの小説の中でいっています。

 偶像崇拝を禁じている宗教ならではの心理だと思います。

 700以上の建築をてがけた、天才、シナンは、夢枕風味がついたこの小説のなかで、ロマンティックに神を語ります。

 聖ソフィアを超える建物を、そう願ったシナン。生き延びるための権力を、そう願った親友、そしてその恋人。

 原色鮮やかなラストの風景は目の前にひろがるほどに視覚的な文章でつづられて、そしてその文章はラストにいたるまでの長い年月をも、実感させる。

 神が完全に感じられる、ジャーミー。そこにあるという赤い、さかさチューリップのタイル。

 それを、この眼でみたい。どうしても。

 アッラーの神の完全さをとらえきったシナンの建築物。それをみたくてたまらない。

 

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