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2007年8月22日 (水)

エロティシズム12幻想

エロティシズム12幻想 (講談社文庫)

エロティシズム12幻想 (講談社文庫)

著者:津原 泰水

エロティシズム12幻想 (講談社文庫)

どの幻想にエロティシズムを感じるか...

 エロ、と略すと、スケベったらしいのに、エロティシズム、と言うと退廃的な雰囲気を感じるのは何故だろう。

 ということはさておき。

 エロティシズムを感じるポイントは人それぞれだと思います。

 飲みの席でどんな異性がやっても「ドキッとする仕草」「ドキッとする格好」は何か、という話をしていたとき。

 男の人全員がみとめた仕草は女の人が「うなじがみえるように髪の毛をまとめてるところ」で、

 格好はダントツで「だぶだぶの男物着た格好」でした。

 けれど女の人の意見はさまざま。

 「ドアを片手でおさえてる」「バックするために助手席に片手をおいて後ろをみる」「髪の毛を両手で一気にかきあげる」等々。

 格好にいたっては、該当なしでした。

 男の人より、女の人のほうが、幻想の種類は多いのかもしれないです。

 

 「エロティシズム12幻想」。

 エロティシズムではなく、エロを期待して読むとつまらないと思います。

 これはあくまで幻想小説の短編集。その幻想の質はどれも上質。

 どれにエロティシズムを感じるかは人それぞれでしょう。

 私自身は、有栖川有栖さん、菅浩江さん、皆川ゆかさん、の短編を面白くよみました。が、エロティシズムを感じたのといわれたら、どうだろう。菅浩江さんかな。

 

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2007年8月20日 (月)

運動靴と赤い金魚

ジュニア版 運動靴と赤い金魚 Book ジュニア版 運動靴と赤い金魚

著者:マジッド マジディ
販売元:汐文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

おすすめは映画のほうです

 今、思えば、私が小学生くらいのとき、我が家は家計的に厳しかったのだと思います。

 そして時代もあるでしょう。

 遊び道具、洋服、学習道具。末っ子の私が新品を手にすることは滅多にありませんでした。

 そして兄弟全員、何かをねだるということは、滅多にありませんでした。

 その代わり、というわけではありませんが。

 姉はバイト代で私や兄にプレゼントをくれ、

 兄はパチンコで勝つと、私たちに戦利品をくれ、

 その恩恵をうけるだけだった私は、今、主婦になっている姉に貢ぎ、帰省した際には兄のおかかえマッサージ師となっています。

 今でも。とりあえず兄弟でなんとかできるところはなんとかしてしまう。

 四捨五入すると全員不惑になってしまう年になっても、仲がいいのは、こういう背景があるからかもしれません。

 

 「運動靴と赤い金魚」はイラン映画。

 貧しい、厳しい、けれども温かい家族に囲まれている兄と妹の、とんでもなくキュートな映画。

 妹の運動靴をなくしてしまったおにいちゃんと、それを悲しみつつ、親にはいいつけない、けなげな妹。

 一足の運動靴を交替ではくために、一生懸命走る妹。遅刻しても理由を言わないお兄ちゃん。

 二人が運動靴を洗うシーン。洗濯用のタイルの池には金魚がゆらゆらしてて、二人がつくるしゃぼん玉の、なんて美しいことか。

 なんて郷愁を誘うことか。

 どこの国でも、人の気持ちは同じだと、しみじみ思わずにはいられません。 

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2007年8月19日 (日)

避暑地の猫 -宮本 輝

新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)

新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)

著者:宮本 輝

新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)

人間が何より怖い

 軽井沢。

 同じ県に生まれているくせにほとんどいった事はありません。

 日帰りで行ったときも、お土産やさんを覗いたけれど、どれも特に買いたいとも思いません。

 観光地独特の、妙に明るいペンキで塗られたお店の壁に、むしろ嫌悪感を感じてしまいます。

 そのペンキの色がはげてしまった姿を想像してしまう。寂れた観光地、というのがまわりに多いからかもしれません。

 だからああいう場所はお店めぐりをするのではなく、本当に「避暑」として、せめて一週間は滞在しないと私には良さがわからないのではないかと思います。

 

 「避暑地の猫」は中学の数学の先生から、おもしろいよ、と薦められました。

 たしかにおもしろかった。何が面白いかわからないままにひきつけられて何度も再読しました。

 これは別荘番としてやとわれた一家が、壊れてしまうまでの話。

 普通、家庭が壊れるのは異常なことかもしれないけれど、この小説においては、この家族が普通に生活を営んでいることのほうが異常。

 主人公をとりかこむ状況そして行動の全てが、冷静に考えると異常なのかもしれないけれど、読んでるうちに誰が悪いとか何がいけないのかがわからなくなる。

 壊してしまった主人公も、全てを麻痺させないと生きてはいけなかった家族のことも、許しそうになる自分が怖い。

 

 自分が避暑としてどこかへ滞在できるとしても、軽井沢は選ばないでしょう。

 単に海がないから、という理由です。せっかくどこかに滞在するなら、普段と違う場所へ。それだけです。

 と、いいつつも、もしかしたら、この小説を読んでしまったからかもしれません。  

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2007年8月15日 (水)

ALWAYS 三丁目の夕日

ALWAYS 三丁目の夕日 通常版 DVD ALWAYS 三丁目の夕日 通常版

販売元:バップ
発売日:2006/06/09
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知らない時代なのに郷愁を感じる普遍の作品

 実家に帰省していました。

 小学生と幼稚園児の甥もきていたので、気分はすっかり夏休み。

 昼間は虫とり網片手に庭を散策。トンボだのカミキリ虫だのを捕まえては質問ぜめしてくる甥っ子のため、一生懸命、記憶をたぐりよせる。

 これは、トンボじゃないよ。ウスバカゲロウ、アリジゴクの成虫なんだ。

 これは、クワガタ。多分、ヒラタクワガタのメスだね。

 私がかつて、子供だった事を知らない甥っ子は、尊敬のまなざしで私をみる。

 

 夜には花火。

 ロケット花火は缶よりビンにさしたほうがいい。

 空に舞い上がる花火は土よりコンクリートのほうがいい。

 かつての腕白坊主だった兄が、てきぱきと花火の正しい遊び方を甥っ子に教える。

 打ち上げられた花火につられて空をみあげると、昔よりはぼやけている天の川が東西をよこぎっているのがみえて。

 花火が消えても夜空をみあげたままの彼らに、星座や由来を教えるのは、かつて星座の伝説をこよなく愛した姉。つまり彼らのお母さん。

  

 甥っ子たちは、都会っ子。

 けれど田舎がもつ魅力は、まだまだこの子達にも通用するようだ。

 きっと彼らもいつか、この映画をみて郷愁を感じる、正しい大人になってくれるだろう、と、叔母の私は安心する。

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2007年8月 5日 (日)

もち切りすいか庖丁

もち切りすいか庖丁 MSH-01 Kitchen もち切りすいか庖丁 MSH-01

販売元:和平フレイズ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

こんな専用のものがあるなんて知りませんでした

 高校生の夏休み。

 部活から帰るのはお昼過ぎ。暑い日差しのなか自転車で30分かけて家に着く。

 汗だくの私がまず第一にやることは、冷蔵庫をあけること。

 そこにはいつも、タッパーに詰められたすいかがありました。

 それを山ほどほおばるとようやく落ち着いて、お昼ご飯への食欲もわいてくる。

 でもその前に、夕飯用のすいかを切らないと。

 毎朝毎晩、ご飯どきに当たり前のように食卓にでてくるほど、スイカやメロンがでてくる農家では、きり方も情緒などありません。

 大きな丸いスイカをざくざくとブロックに切り、大型のタッパーに詰めてゆく。この作業は実は大好きでした。

 一つ、スイカを丸ごとむいた姿がみられる。

 中身をくりぬいたスイカならばたまにみかけますが、皮だけむいたスイカをみる機会など、普通はないでしょう。大きな赤いまん丸は、一瞬スイカとは認識できません。

 二つ、一番甘い中心だけを、こっそりとっておくことができる。

 すいかは中心が甘いけれど、普通のきり方ではそれぞれの切れ目にわかれてしまう。

 でも丸ごとむいたスイカならば、ルービックキューブよりも少し大きい、すいかの中心部分を取り出すことができる。

 これは切り分ける人、つまり私の特権でした。

  

 一人暮らしに、スイカは丸ごと買えません。タッパーに詰めても、そのタッパーを冷やすほど大きな冷蔵庫ももってません。

 あの贅沢な日々。

 それをひきかえに今、ここにいることはわかっていても。

 スーパーで丸ごと売ってるスイカをみるたび、透明感のある赤いお日様のようなスイカがみたくて、ため息をつく。

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2007年8月 4日 (土)

半月でも

 夏がようやくやってきて、散歩のお供もホットからアイスに変わる。

 見上げる空には、ようやく月がみえる。

 今日はまだ、満月にはほどとおい。

 けれど眼鏡を外してみれば、ぼやけた月は幾重にも重なって私の眼には、満月。 

 

 本当は別の理由があるとか、

 実はうそだったとか、

 そういう事を考え出したら、きりがない。

 どれも本当でどれも嘘で、それでもやっぱり事実は一つ。

 ならば見方ひとつ変えて歩けばいいじゃないかと、暗い自分に叱咤する。

 半月でも、見方ひとつで満足できるタチなのだから。

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