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2008年2月24日 (日)

雨水(うすい)

 一緒にいるのは寂しいからだ、とかつてそう言いきった人。

そこまではっきりといわれてしまえば仕方ない、と、私はその時、深くあきらめた。

 なのに、まだ隣にいるこの人の、真意は全くわからない。
 
 
 
 何にだって、前提条件がある。

受ける側が知らなければ何の意味もなくなるような、歌舞伎の知識や符丁とは違う。

知らなければ、その行動の意味そのものが変わってしまう暗黙の了解、お約束の類だ。

 

 たとえば今。 立春がすぎて、二十四節気では雨水(うすい)の時期だ。

積もった雪はじわじわとけて、空から降るのは雪から雨にかわってく。

氷を溶かしたばかりの雫は、驚くほど冷たくてひるんでしまう。空気をはらんだ雪よりも。

 それは春がきている、と知らなければ耐えられないほど。
 
 凍えそうな雨も。

 微妙な位置も。

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2008年2月14日 (木)

VOCALIST3 -徳永英明

VOCALIST3

VOCALIST3

アーティスト:徳永英明

VOCALIST3

よい意味で乾いた感じ

 カバーというのは、ちょっと卑怯だと思います。

 ヒット曲であればあるほど、耳に既になじんでいる。よほどアレンジしない限りは、違和感なくリズムにのれる。

 それと同時にチャレンジでもあると思います。

 最初に歌っていた人の歌い方に影響されずに、自分らしさを出せるか否か。力量を比べられてしまうかもしれない。

 

 諸刃の剣だと思いますが、このアルバムは成功でしょう。

 男の人には決してだせない、女性ならではの思い入れ感。 女性でも、あまりに情を込めすぎるとベタベタするその気持ちを、無理に出そうとしていないのがいい。

 それが逆に心地よいのは徳永さんの、少しかすれた裏声のせい。だからこそ、かすかに感じられる気持ちが大人の色気なのかわからないけれど。

 「恋におちて」「桃色吐息」「TIME GOES BY」などは、とてもそんな気がする。

 でも。

 「わかれうた」と「やさしいキスをして」を選曲したセンスは素敵だと思うけれど、歌ってほしくなかったなあ、と思うのは、中島みゆきさんとドリカムを事の外、自分が好きだからだけでなく。

 この曲は女の人のものだ、と思ってしまうから。

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2008年2月 8日 (金)

はじめまして -中島みゆき

はじめまして

はじめまして

アーティスト:中島みゆき

はじめまして

今でもくちずさむ

 TUBEよりサザンです。

 Every Little Thingよりドリカムです。

 そして圧倒的に、ユーミンよりもみゆきさんです。

 

 最初は、兄が借りてきたアルバムだと思います。

 暗い歌が多い、というイメージだったけれど、聴いてみるとそんなことは無い。中学生には、まだまだ歌詞の持つ深い意味はわかりませんでしたから。

 そして深夜ラジオ。オールナイトニッポンの、たがが外れたようなテンションにまた驚き、そして、はまりました。

 

 高いテンションで話す二時間の、最後はいつもご本人の曲で、どれも泣いてる子供をねかしつけるお母さんを思い出すような優しさを持つものばかりでした。

 辛い目にも、悲しい目にもあっている人が、それをあえて表に出さずに他人に優しくする。

 みゆきさんの曲にはそんな印象を受けるものが多くて、それはおそらくみゆきさん自身が、せつなくなるほど優しい人だからに違いない、と、勝手に思ってしまいます。

 

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2008年2月 3日 (日)

はじめての道

 六本木から新宿まで散歩した。

 いつも、仕事帰りの散歩は自宅の近くだったから結構暗い。だから都市部の散歩は明るくて、それはとても印象的で、とてもとても心地よかった。

 乃木坂の途中で大きなルーブ・ゴールドバーグ・マシンに目をみはる。

 青山の並木通りの、そのむこうにライトアップされた建物が美しくてうっとりする。

 少し暗い明治公園の横を少しびくびくしながら歩いたその先に、励ますように明るく輝いているのがホープ軒と気づいて笑い、代々木の雑多な道に時折ある品のよさそうな店の数々をチェックして。

 気づけば、新宿御苑の向うに時計塔がみえる。

 どの道も、かつてのはじめての道。そう思えばどれも楽しい。

 でも、わかっていても、はじめての道はやっぱり一番ドキドキして楽しい。

 大人になるたびに、はじめてのことが少なくなるからその事を忘れがちで、

 それを思い出すたびに、はじめての道を求める。

 「はじめて」をまだまだ楽しめる自分を再確認して、ほっとする。

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2008年2月 2日 (土)

鏡のなかの鏡-迷宮 -ミヒャエル・エンデ

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

著者:ミヒャエル エンデ

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

ウロボロスの蛇のよう...

 ミヒャエル・エンデを知ったのは、映画「ネバーエンディングストーリー」からです。

 映画をみてその世界に憧れ、その原作、「はてしない物語」を中学校の図書館でみつけたのが最初です。

 映画よりさらに深い、卵の中にまた卵があるような、そんな印象の原作にすっかりやられました。

 美しい時間の花に魅了される「モモ」、どこまでも前向きな「ジム・ボタン」シリーズ。

 どれもどこか多重構造や、メビウスの輪のような、めぐるイメージがある。ような気がしてひかれます。

 そして、どこか薄暗い。光と対極の闇ではなく、アジアの混沌ともまた違った、光り続けることに少し疲れた、退廃的な影。

 同じドイツ人のゾーヴァの絵にもそれは感じます。民族性かな?と思うのは偏見かもしれませんが。

 

 「鏡のなかの鏡」はその最もたるもの。

 これは童話ではありません。連作の小説集です。

 正直、はじめて読んだときは、「???」の連続でした。今もはっきりとその意図はわかりません。

 とても読みづらい。読みづらいのだけど、手放せない。

 年に一度くらいは手にとって読み返し、納得のいかないままの読後感。

 サブタイトルは「迷宮」なので、作者の狙いどおりの読者なのかもしれませんが。

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