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2008年3月25日 (火)

逢瀬

 昨日は確かに硬いつぼみの色だったはずなのに。

 今日、喫煙所からみえる桜の木は、柔らかな色をまとっていた。

 また春が来る。

 また今年も、満開の桜に囲まれて、その美しさにたちすくむだろう自分を思う。

 その時の、幸福感を思い出してうっとりする。

 

 不思議なものだ。

 かつて桜の木の下にいたときの自分が、幸せな状況だった事なんて、ほとんどないのに。

 むしろ桜をみるたびに思い出すのは、悲しい記憶が多いのに。

 それでも、桜を厭う気持ちにはまったくおきない。むしろ桜の下では、その悲しい記憶が懐かしいものになったりもする。

  

 自然をみるのが好きだ。

 それは常にみせてくれる風景が変わらないからだ、ということを知っている。

 私が嬉しくても悲しくても、どんな気持ちでいようが、山も海も、当たり前だけど変わらない。

 その変わらなさに、安心する自分を知っている。

 

 だからきっと。

 辛いときに傍で支えてくれた人を好きになる。そんな気持ちで桜を思っている。

 嘆いていた自分を、苦しんでいた姿を、優しく受け止めていてくらた桜の木に恋をしているのだ。

 だから桜をみるときは。

 隣に人は必要ない。私と桜がいればそれでいい。

 

 春が来る。

 私は二人っきりの逢瀬を待ち焦がれて、わくわくする。

 

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2008年3月24日 (月)

あさきゆめみし -大和 和紀

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

著者:大和 和紀

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

源氏物語の入門編として最適

 源氏物語の原本はほんの少し、古文の授業でみた程度です。

 忠実といわれる与謝野晶子訳、評価が高い瀬戸内寂聴訳、翻訳に等しい円地文子訳、田辺聖子訳、自ら「窯変」と命名うってる橋本治訳。

 現代語訳はどれも魅力的ですが、根性がなくて読んでいません。

 けれど大体のすじを知っているのは、この「あさきゆめみし」のおかげ。

  

 源氏物語の漫画化。と一言でいうと簡単ですが、実際、書くのは本当に苦労したそうです。

 今では骨董品にあたる調度品、平安時代の家屋のつくり、様々な柄の着物。

 現代の私たちが原文で読んでもイメージしにくい。しにくいどころかできない部分を、この漫画は、できるだけ忠実に再現しているそうです。

 和歌のやりとりも、直接的な意味と裏の意味もきちんと、でもさりげなく書かれている。おかげで、平安時代の彼らの恋が、どれだけレベルの高いものかをも知ることができました。

 

 中途半端に映像化するより、はるかにリアルで美しい平安時代が描かれた、名作だと思います。

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2008年3月23日 (日)

華麗なる一族 山崎豊子

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

著者:山崎 豊子

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

ドラマはみてません

 山崎豊子さんの名前をはじめて聞いたのは、NHKの大河ドラマ「山河燃ゆ」でした。

 日系アメリカ人の戦中戦後を描いた話です。小学生の私にもインパクトは強烈でずっと気になっていました。

 原作は「二つの祖国」。この間、図書館でふと思い出し探しましたがみあたらず。代わりにこの「華麗なる一族」を借りました。

 ゴージャス。

 その生活ぶりは確かに今と時代考証が違うことを差し引いてもすごい。でも一番ゴージャスなのは、万俵家の家族の愛憎の度合い。

 「華麗なる一族」の「華麗なる」部分は決してその生活をさしているわけではないことを知りました。

 キムタクのでていたドラマはみてません。ですが、読み始めてすぐ、どの役をキムタクがやったかは想像がつきました。 おかげで彼がでてくる部分は勝手に頭にキムタクがうかびます。おまけにドラマをみていない分、頭の中のキムタクの演技は素晴らしくて。

 DVDを借りて観ようかと思うのに、がっかりするのが怖くて躊躇しちゃいます。

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2008年3月22日 (土)

ゴダイゴ・グレイト・ベスト1

ゴダイゴ・グレイト・ベスト1 〜日本語バージョン〜

ゴダイゴ・グレイト・ベスト1 〜日本語バージョン〜

アーティスト:ゴダイゴ,ミッキー吉野,山川啓介,山上路夫

ゴダイゴ・グレイト・ベスト1 〜日本語バージョン〜

同じ選曲の英語バージョンもあります

 私が洋楽にはまるもっと前、小学生になったばかりの頃。姉がゴダイゴにはまっていました。

 ちょうど堺さんの「西遊記」がTVでやった頃でしょうか。「モンキー・マジック」がすごく売れて、ベストテンでタケカワさんがくもの糸みたいなのを手から出しながら歌うのをかっこよくみてた覚えがあります。

 「モンキーマジック」はかっこよい。「ガンダーラ」のエキゾチックなメロディも、「ホーリー・アンド・ブライト」のコーラスも素敵。

 でも、何がかっこいいって、サビが英語の歌詞だったこと。今はそれが普通だけど、当時、英語が日本語と同じくらいの割合で入っている歌は少なかった。

 東京外語大出身なのだ、と、姉が得意げに言っていたことを覚えてます。そんなに難しい単語を使っているわけでもないが、発音が美しいから余計にかっこいいのだと。

 

 最近、ビールのCMで「銀河鉄道999」が使われているのが、耳について離れず、とうとうこのアルバムを借りてきました。

 今、聞いてもやっぱり素敵な曲ばかり。そしてかっこいいと思った彼らの発音は、今時のアーティストの、洋楽をまねたようなスラングチックな発音とは全く違う、基本に忠実で美しいもので聴きやすい。

 「The galaxy express 999 will take you on a journey a never end journey.」。

 「銀河鉄道999」のサビをすらすらと歌いたくて、一生懸命覚えたおかげで、今でも気持ちよく一緒に口ずさめることに、にんまりする。

 

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2008年3月18日 (火)

頭がいい人、悪い人の話し方 -樋口 裕一

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)

著者:樋口 裕一

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)

読んでいて反省...

 年度末が近づいて、経理なお仕事をしているわけでもないのに驚くほど仕事が忙しい。

 年齢が年齢なので仕方ないのだけれど、管理職的な仕事が増えてきてます。

 上から

下から挟まれる中間管理職に自分がなりつつあることに、少しとまどいながらも、やるしかない。

 とまどいつつも気づくこと。

 うざったいと思うほどの監視の眼があるほうが、人は気合がはいるという事。

 下にいて、文句を言いながら仕事することの、気楽さったらないということ。

 指導側についてはじめて気づく。指導している側だって指導なんてしたくない。

 文句を言われても、それが言い訳なだけだってわかってる。

 わかって言ってることに、どうか気づいてほしい。

 それは「親の心、子知らず」にちょっと似ている気持ち。

 

 この本の、「悪い人の話し方」で思い出すこと多々あり。

 それは話す相手のことではなく、自分自身の話し方。悪い人なのかしらと落ち込みつつ少し反省。

 

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2008年3月 6日 (木)

ツレがうつになりまして。 -細川 貂々

ツレがうつになりまして。

ツレがうつになりまして。

著者:細川 貂々

ツレがうつになりまして。

明るく読める真面目な本

 細川さんのイラスト、漫画は時折雑誌でみかけてました。

 かわいらしく、情緒ゆたかな絵は、最近の綺麗系をめざすタッチとは大違い。ほのぼの感満載でした。

 よもやこの人のツレがそんな大変なことになっていようとは。

 

 うつになる、という状態がどれほどのものなのかを知るにはとてもいい本だと思います。

 でもそれ以上に、この二人の関係が変わっていくのが興味深い。

 

 細川さんは、本人曰く、だらだら系の性格で、ツレは真面目な人。

 ツレが病気になった時、細川さん自身がどれほどしんどかったか。

 本の中ではそれを、おもしろおかしく書いてありますが、だからこそ、本当はその何倍も色々あったんだろうな、と思います。

 細川さんは決して自分をよくは書いてません。卑下もしてません。

 ツレの、うつ特有の悲観的な態度をみていらいらしたり、前向きになった姿にほっとしたり、意外な行動に驚いたり、また寝込んじゃった姿をみてはらはらしたり。

 ツレの愚痴を聞いていらつきながらも、自分も今まで同じことをツレにしていたこととか、ツレの頭の中がどんなになっているか想像して「ひゃー」と思ったりしたことを、そのまま書いている。

 ツレの病気とむきあう。それはそのまま細川さん自身とむきあう結果となったようです。

 それをツレの病気のおかげ、といっては変だけど、でも今、ツレのうつが良くなってきて、二人の生活スタイルがちょっと変わっているのを知って、少しだけ不思議な気分。

 人間万事塞翁が馬、とはよくいったものだ。どんな行動がどんな結果をひきおこすかなんて、本当にわからないな、と思います。

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2008年3月 2日 (日)

トラブル・クッキング -群 ようこ

トラブル・クッキング (集英社文庫)

トラブル・クッキング (集英社文庫)

著者:群 ようこ

トラブル・クッキング (集英社文庫)

おもしろおかしくも冷静。

 群ようこさんは天才だ、と気づくまでしばらくかかりました。

 はじめて「無印OL物語」を読んだときは、ふーん、と思っただけです。当時、学生だったのでOLの実態がわからない。

 同じOL世代が書かれているのなら田辺聖子さんの小説の方が、大阪弁が小気味よくて好きでした。

 

 社会人になって、この「トラブル・クッキング」を読んだときもやっぱりその凄さはわかりません。

 私だって同じような失敗をしてる、同じような思いをしている。特に、絶賛するほどの内容でもなかろうと。

 

 この本を昨年買いなおしたのは、掲載されていた「ほうれん草のチャーハン」の作り方を知りたかったから。

 再読して思いました。群さんは、天才だ。

 料理をする人なら誰もが経験するであろう失敗、誰もが感じる感想を的確に捉え、共感させる。しかも料理本として期待する人ならば誰もが当にしっている情報を、退屈させずに読ませる文章。

 それを、この程度なら、と誰にでも思わせちゃうほどに自然で、巧みにみせれる人はそういない。

 さすが「かもめ食堂」を書いた人だ、とうなってしまう。

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