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2011年6月 2日 (木)

光の帝国 -恩田陸

光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)
悲しい、ではすませられない

 中学の頃の美術の教科書に、「光の帝国」という名のマグリットの絵が載っていました。
 
 明るい青空と逆光になったような家の影、そして影の中で灯されている街灯。

 絵の美しさにまずひかれて、上下で昼夜逆転されていることに気づきませんでした。

 その不思議さに一目ぼれし、それからマグリットは大好きな画家になりました。
 
 
 同名のこの本は、だからタイトルにひかれて手にとりました。
 
 これは不思議な能力を持つ常野一族の物語。
 
 彼らはその能力を誇示することなく、けれど隠れて暮らすわけでもなく、ひっそりと普通の人々の中に埋もれて暮らしている。
 
 自分の能力に気づかない場合もある、人々に誤解されることもある。そして狙われる事も。
 
 それでも、「常に在野にあれ」の名前の由来のとおり、彼らはいつもそこにいる。静かに、戦っている。
 
  
 この本は短編集で、「光の帝国」はその一本。
 
 あの絵と張り合おうなんて。読み始める前はそんなプチ敵対心をもっていたことは確かです。
 
 でも読み始めて、すぐにそんな気持ちは消えました。
 
 だって、これは確かに「光の帝国」。 
 
 彼らが唱えるお祈りの言葉はまばゆすぎて目がくらむ。

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