2008年4月 2日 (水)

再掲 -長い長いさんぽ

長い長いさんぽ ビームコミックス

長い長いさんぽ ビームコミックス

著者:須藤 真澄

長い長いさんぽ  ビームコミックス

春は別れの季節だと、わかっていても辛すぎる。

 生まれたのは初夏の頃。物置の中でした。

 お母さんはきれいな三毛で、私は黒トラでした。黒と茶トラの兄弟と、時折みかける大きな人から隠れるように遊びました。

 柱で爪とぎしてた時、通りがかった大きな人と眼があって、私はその場で凍りつきまして。怖くて怖くてぶるぶる震えて動けません。大きな人は、どこかへ行った後、白い飲み物をくれました。

 

 ある日、お母さんについて、大きな人のところへ行きました。

 黒と茶トラは平気みたいだけど、私は怖くてたまらない。いつも首をすくめてひるんじゃう。

 でもここにいる大きな人は優しくて、背中の毛をがしがし箒で掃いてくれて、気持ちよくって大好きでした。

 

 黒がいなくなりました。

 探したけれどみつかりません。お母さんは、よくある事よ、と言いました。

 気がついたら、箒で掃いてくれた人も、姿をみせなくなりました。

  

 私がお母さんと同じくらいになった頃。

 お母さんの、声とそれから綺麗な目が、壊れて使えなくなりました。

 おばあさんはそんなお母さんを邪魔にするので、私は怒ってやりました。

 茶トラは旅に出てしまって帰ってこないので、

 私はお母さんといつも一緒にいるようになりました。

 

 ある日、おばあさんは薬の匂いをさせるようになりました。

 ますます嫌いになったけど、その後、すぐにいなくなりました。

 お母さんには何も言わなかったけど、きっと気づいてた。おばあさんの足音に敏感だったのはお母さん。

 

 お母さんが怪我をしました。

 大きな人に抱えられ、薬の匂いをさせて戻ってきた時は、とても心配になりました。

 でもお母さんは元気になって、気配で私を探し当て、見えない目を私にむけます。

 お母さんはすごいです。

 

 でもある日突然。

 お母さんもいなくなりました。

 たくさんたくさん探したけれども、見つかりませんでした。

 たくさんたくさん呼んだけれども、返事はありませんでした。

 

 それから私は一人です。

 

 二度だけ恋をして、二度ほど子供も産みました。

 子供はすぐに連れ去られ、私はお母さんが、よくあることよ、と言ったのが、やせ我慢だと知りました。

 一度大きな人が私を薬の匂いのする場所へ連れてゆき、それから私は恋をしていません。

 

 大きな人たちは、私を時折構うけれど、昔ほどではありません。

 たまにだっこをされるけど、いつもちょっとだけ怖いです。

 時折逃げちゃうけど、そんな時には少しだけほっとします。

 かまってくれる人はいなくなるから。優しいのに慣れるとさみしいから。

 

  

 なぜ、こんなことを思い出してるのでしょう。

 さっきまで背中がいたくって、叫んだ声もかれはてて、それどころではなかったはずなのに。

 今だって、大きな人の膝の上にいて、いつもだったら怖くてびくびくしちゃうはず。

 

 なのになんだかいい気分。

 背中も今は痛くない。いつも眠る、冷蔵庫の上にいるみたいに身体はあったかい。

 気持ちいい、と思った時。春の湿った土の香りと一緒に、お花の香りをかぎました。

 これは梅の木。庭の隅で今、咲いている花。いつも居眠りをすると決めてる場所の香り。

 そしてお花の香りの向こう側に、お母さんの香りがしました。

 お母さん、お母さん、お母さん。

 私、ずっとさみしかったのかもしれません。

 

 今日は暖かいから、いつもの広場で眠ろうかと思っていたけれど、

今日は猫の集会があるけれど。

もう、いいのです。

ふと、そう思いました。お母さんの側のほうがずっといい。

決めちゃったらなんだか眠くなりました。

今年はお母さんと春がすごせる。

梅の木と、お母さんの香りをかぎながら、そう思って嬉しくなって、

幸せな気持ちで目を閉じました。

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2008年3月24日 (月)

あさきゆめみし -大和 和紀

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

著者:大和 和紀

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)

源氏物語の入門編として最適

 源氏物語の原本はほんの少し、古文の授業でみた程度です。

 忠実といわれる与謝野晶子訳、評価が高い瀬戸内寂聴訳、翻訳に等しい円地文子訳、田辺聖子訳、自ら「窯変」と命名うってる橋本治訳。

 現代語訳はどれも魅力的ですが、根性がなくて読んでいません。

 けれど大体のすじを知っているのは、この「あさきゆめみし」のおかげ。

  

 源氏物語の漫画化。と一言でいうと簡単ですが、実際、書くのは本当に苦労したそうです。

 今では骨董品にあたる調度品、平安時代の家屋のつくり、様々な柄の着物。

 現代の私たちが原文で読んでもイメージしにくい。しにくいどころかできない部分を、この漫画は、できるだけ忠実に再現しているそうです。

 和歌のやりとりも、直接的な意味と裏の意味もきちんと、でもさりげなく書かれている。おかげで、平安時代の彼らの恋が、どれだけレベルの高いものかをも知ることができました。

 

 中途半端に映像化するより、はるかにリアルで美しい平安時代が描かれた、名作だと思います。

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2008年3月 6日 (木)

ツレがうつになりまして。 -細川 貂々

ツレがうつになりまして。

ツレがうつになりまして。

著者:細川 貂々

ツレがうつになりまして。

明るく読める真面目な本

 細川さんのイラスト、漫画は時折雑誌でみかけてました。

 かわいらしく、情緒ゆたかな絵は、最近の綺麗系をめざすタッチとは大違い。ほのぼの感満載でした。

 よもやこの人のツレがそんな大変なことになっていようとは。

 

 うつになる、という状態がどれほどのものなのかを知るにはとてもいい本だと思います。

 でもそれ以上に、この二人の関係が変わっていくのが興味深い。

 

 細川さんは、本人曰く、だらだら系の性格で、ツレは真面目な人。

 ツレが病気になった時、細川さん自身がどれほどしんどかったか。

 本の中ではそれを、おもしろおかしく書いてありますが、だからこそ、本当はその何倍も色々あったんだろうな、と思います。

 細川さんは決して自分をよくは書いてません。卑下もしてません。

 ツレの、うつ特有の悲観的な態度をみていらいらしたり、前向きになった姿にほっとしたり、意外な行動に驚いたり、また寝込んじゃった姿をみてはらはらしたり。

 ツレの愚痴を聞いていらつきながらも、自分も今まで同じことをツレにしていたこととか、ツレの頭の中がどんなになっているか想像して「ひゃー」と思ったりしたことを、そのまま書いている。

 ツレの病気とむきあう。それはそのまま細川さん自身とむきあう結果となったようです。

 それをツレの病気のおかげ、といっては変だけど、でも今、ツレのうつが良くなってきて、二人の生活スタイルがちょっと変わっているのを知って、少しだけ不思議な気分。

 人間万事塞翁が馬、とはよくいったものだ。どんな行動がどんな結果をひきおこすかなんて、本当にわからないな、と思います。

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2008年1月17日 (木)

空のオルガン -竹坂 かほり

空のオルガン 1 (1) (HMB T 3-1)

空のオルガン 1 (1) (HMB T 3-1)

著者:竹坂 かほり

全編に美しい音楽が降っている

 中学生の頃買っていた「ぶ~け」は、今思うと、大変魅力的な少女漫画雑誌でした。

 恋愛ものもなくはないけど、それ以上に、ドラマ性の高い話ばかりが揃っていました。

 SFあり、自分探しあり、寓話あり、ホラーあり。

 あの頃、連載されていた話を今でも読み返したくて古本屋で探したりしています。

  

 「空のオルガン」も、その一つです。

 舞台は昭和初期。教会の、パイプオルガンの音に魅せられている主人公。

 目の見えない妹。療養所にいる友人。片言で話す牧師さん。ロシア文学を勉強する兄と、優しい父と母。

 軍人の勢いがましてくる世の中で、いつでも誠実に生きることを願ってる。

 主人公が感じる気持ちは少しキリスト教の教えに近い。全体的に宗教じみていると感じる人も多いでしょうが、だからなんだ、といいたくなるほどに、どの話も心に響く。

 それこそパイプオルガンの音のように、残響がいつまでも続き、しらずしらずに心に残る。

 だからこそ、何年もかけて古本屋で探し続け、昨年ようやく全巻そろえました。

 それなのに、有頂天になったのも年末まででした。ある日本屋で、文庫化されたものが平積みされていました。

 どうせならもっとはやく...。と嘆きつつ。文庫版を買いなおそうか、現在悩み中です。

 きっと、文庫版がなくなるころに欲しくなって買うことでしょう。 

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2007年11月 2日 (金)

有閑倶楽部 -一条 ゆかり

有閑倶楽部 (1) (集英社文庫―コミック版)

有閑倶楽部 (1) (集英社文庫―コミック版)

著者:一条 ゆかり

有閑倶楽部 (1) (集英社文庫―コミック版)

ゴージャスと粋とかっこよさが同居する異世界

 小学生の頃、中学生以上は全て大人にみえました。

 当時中学生だった姉も、30代だったであろう叔父も、40代の親も一緒くたです。自分とははるかに違う、頼れる人達。

 実際、自分がなってみると、とてもとても大人なんていえません。

 それは中学生の時はもちろん、恥ずかしながら現在も。

 

 だから、「有閑倶楽部」の主人公たちが高校生なのも、今読むと、ちょいと無理がある。

 いくら賢くたって、いくらハイソな世界の住人だって、それはないだろう、と突っ込みを入れたくなる。

 入れたくなるけど、でもやっぱり、彼らは高校生であってほしい。

 高校生という、制約がありそうなそれでいて責任のない位置で、ありえない程の知識と人脈と交流を持ちながら、彼らはいつもかっこいい。

 有閑倶楽部。それは暇をもてあます、ハイソな世界の最強な高校生。

 こんな高校生、近くにいたら本当に嫌だ。コンプレックスにまみれてしまう。

 そう思いつつも、やっぱり彼らが大好きで、何度も何度も再読してしまう。

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2007年10月29日 (月)

さくらん -安野 モヨコ

さくらん

さくらん

著者:安野 モヨコ

さくらん

とても戦えそうにない女の世界

 京都にいったおり、舞妓さんに会う機会がありました。

 もちろん、お茶屋遊びではありません。 そんな甲斐性があるはずもなく、知り合いのつてで本物の舞妓さんの、ご出勤前の身支度をみさせていただきました。

 水でといた白粉で器用に襟足に模様をつけ、顔にも塗る。それに紅をほんの少し加えたもので陰影をつける。

 髪結いは週に一度だといいながら、乱れた頭を丁寧にとかしてゆく。飾り布を差し込むとみるみるうちに華やかな日本髪に。

 兄さん、とよばれる男衆(おとこし)の人がやってきて、ものの10分ほどで手際よく着付けてゆくと舞妓さんのできあがり。

 そのあでやかな変身振りにみとれた私たちをなお、圧倒するもの。

 それは、18歳にも満たない彼女達のおしゃべりからみえる、生々しい祇園の世界。 

 OLさん達の戦いよりなお厳しい、女の世界がありました。

 

 「さくらん」は花魁の話。

 舞妓さん、芸妓さんの世界とはまた違うけれど、それでもやっぱり。

 私のような、男の人の多いような職場で働く生ぬるい人間が、たちうちできるようなものではありません。

 

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2007年7月10日 (火)

夕凪の街桜の国 こうの 史代

夕凪の街桜の国 Book 夕凪の街桜の国

著者:こうの 史代
販売元:双葉社
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映画化されるんですね...

 ガラスのうさぎ。

 ふたりのイーダ。

 裸足のゲン、そして、ひろしまのピカ。

 戦争のこと、特に原爆のことは、図書館にあった童話、物語で知りました。

 何故だかひきつけられて、体験者の話をまとめた物語を数多く読んだ覚えがあります。

 どんなに悲惨な話でも、それは幼い私にとっては、遠い遠い世界の話だったというのに、どうしてあんなにむさぼるように読んだのか。

 今でもよくわかりません。

 

 祖父も、祖母も亡くなった今、戦争そのものを体験した人は身近にいません。父の話す戦争は、戦争そのものではなく、生き延びるための生活の話です。

 だから、やっぱり遠い。どんなに書物を読んでも、記録映画をみても、当時を題材にした小説を読んでも。

 生きているうちに戦争がない限り、本当に実感することなど出来ません。できない事を申し訳なく思う事すら、申し訳ない。

 ただただ、頭をたれるばかりです。

 ただただ、何故?と思うばかりです。

 

 むこう約70年間は草も木も生えないだろうといわれた街には、今、緑にあふれてるかもしれない。

 でも、この本の主人公たちは、憤るわけでもなく、嘆くわけでもなく、何十年たってもまだ続いている被爆の影響をただ事実としてうけとめなければならない状況にいる。

 どこにでもいる女の子達なのに、何故?と感じずにはいられません。

 こんな事実があるのにまだ核がなくならないのは何故?と思わずにはいられません。

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2007年6月13日 (水)

シュナの旅 -宮崎 駿

シュナの旅 Book シュナの旅

著者:宮崎 駿
販売元:徳間書店
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ほこりたかい英雄、シュナ

 宮崎アニメには、何かを志すヒロインはいても、何かを志すヒーローが少ないです。

 大抵の場合、ヒロインを救うための巻き込まれ型。

 男はこうあるべき、という、宮崎さんの理想なんでしょうか。知らないけれど。

 

 シュナの旅はめずらしく、志をもつヒーローと、彼を救うヒロインの組み合わせ。

 貧しい自国に「金色の穀物」をもたらすための、シュナの旅。

 元ネタは、チベットの民話。確かにどこかで読んだイメージはあるけれど、これはやっぱり立派な宮崎アニメだ。

 ヤックルに乗るシュナはナウシカを思い出させる。

 人買いがいて、人食いがいて、不思議な老人がいて、天上にはいつも青い月が飛ぶ。

 

 この話は地味すぎてアニメ化にはむかない、と書籍になったと聞きました。

 どうかアニメ化にはしないでほしい。ただしそれは地味すぎてではない。

 この書籍でもう、完成品だと思うから。

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2007年3月27日 (火)

鋼の錬金術師 - 荒川 弘

鋼の錬金術師 16 (16) Book 鋼の錬金術師 16 (16)

著者:荒川 弘
販売元:スクウェア・エニックス
発売日:2007/03/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

あんまりはやっていていまさらですが

 錬金術師。

 この言葉で思い浮かべるものは中世ヨーロッパ、ホムンクルス、ありとあらゆる理科系の器材と、そして賢者の石。

 この漫画はその要素を巧みにとりいれながらも、立派にオリジナルになっている。

 上手いなあ、と思いました。

 通称「ハガレン」と言われるこの漫画は、錬金術があり、オートメイル(機械鎧)も、ホムンクルスも、ある世界の、ある少年達の物語。

 

 でもそれだけでは、きっとこんなに支持はされなかったと思います。

 主人公たちが願うことはあり、それをかなえることがこの物語の主題ですが、少年漫画にありがちな、少年が夢を追いかけるだけの話ではありません。

 いたずらに綺麗事だけいう大人もいなければ、悪者だけの悪者もいません。

 戦争も、政治も、辛いぎりぎりの線まで書かれています。そのなかには答えのでない問いもやまほどでてきます。

 でも、だからこそ、主人公たちの悩む姿も、まわりの大人達の潔さも、共感できる。

 世界が違っても、人が思うことは、願うことはいつだって同じ。

 身近な人の幸せを、笑顔を。

 それをきちんと描いている。続きが素直に気になる、おすすめの漫画です。

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2007年2月24日 (土)

英語ができない私をせめないで!-小栗 佐多里  

英語ができない私をせめないで!―I want to speak English! Book 英語ができない私をせめないで!―I want to speak English!

著者:小栗 左多里
販売元:大和書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

努力をしている分、せめるなんてそんな...

 「ダーリンは外国人」の著者、小栗さんのコミックです。

 「ダーリンは...」はマジャール人の旦那さんと小栗さんの生活っぷりを書いた漫画で、なかなか目からうろこでした。

 タイトルで誤解されそうですが、中身は、トニーさん(旦那さん)の超ポジティブシンキング、語学オタクならではの言葉に関する間違いなど、外国人だからという理由ではなくトニーさんのキャラだからこそなんだよ、というエピソードが満載で、そこが好きです。

 他人様と接するのはいつだって違和感を感じるのはあたりまえで、それが多いか少ないかだけ。

 それを楽しめるかどうかなんだと思います。

 

 「英語ができない私をせめないで」。タイトルでうなづいちゃう人は多いと思います。まして外国人と暮らしている小栗さんには切実かも。

 あらゆる英語の学習法をためしてくれている小栗さんのレポートは参考になります。

 それと同時に、世の中にはピンきりの方法で、お値段で、学習法があることも知ってまたびっくり。

 何ヶ国語も遊びのようにさっさと覚えてしまうトニーさんをにらみつつ、がんばる小栗さんがほほえましくてかわいい。

 

 英語を話せるようになりたいと、切実に思う人が買う本ではありません。

 でも私のように、ぼんやり思う人には楽しく読めると思います。

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2007年2月15日 (木)

ニコニコ日記 -小沢 真理

ニコニコ日記 (1) Book ニコニコ日記 (1)

著者:小沢 真理
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

子供がいる生活

 バレンタインがくると思い出すのは小沢真理さんの「プラチナの朝」という漫画にあった、女の子の話。

 調理実習で作ったチョコレートケーキを、好きな人に渡す素直な女の子。必要ないからと捨てようとする、美人だけど素直じゃない女の子。

 恋愛話だけど、恋愛そのものより友達の女の子に対する気持ちが、いじらしくてかわいらしくて、すごく好きでした。

 

 「ニコニコ日記」はキャリアウーマンが、知り合いの女の子を預かって一緒に暮らす話です。

 親子でないとはっきりわかっている分、葛藤したり、友達のようにせっしたり、でも気にかけたり。

 家族なのに、他人のような気持ちで暮らしている人達も世の中には多いでしょうが、それよりは、よっぽど暖かい。

 血のつながりなんて関係なく、一緒に暮らしていれば、気にかけていればいつか家族になる。

 それは、恋人でも子供でも同じこと。

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2007年2月 1日 (木)

骨董あなろ具屋 -山野 りんりん

骨董あなろ具屋 2 (2) Book 骨董あなろ具屋 2 (2)

著者:山野 りんりん
販売元:集英社
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ほっとするお茶のような話

 昔ながらの古道具屋さんが、実家の町にはありました。

 平屋作りの店はいかにもな木枠のガラス戸。店の外にはごみとみまごうばかりの、でも今時のカラフルなごみとは全く違う、黒、茶色、こげ茶色のものが山ほどつまれていました。

 たくさんの革靴。厚い板で組まれた踏み台。スチームでもなんでもないアイロン、基本のたんす、そして一着だけぶらさがってる毛織物のジャケット。

 手書きの値段が書かれていたから、売り物なのでしょう。

 お店の前を通るたびに、気になってしまっていました。店内にある、外からはみえない品にも、外からはみえない店の主人にも。

 あのお店、売り上げはあるのか、品物はどこから仕入れているのか。知りたくてたまらないけど、まだまだ私には渋すぎる。
 結局、まだ一度も入ったことはありません。

 

 「骨董あなろ具屋」はそこまで渋くありません。古道具屋とアンティークショップの中間くらいです。

 この漫画はこのお店の商品にまつわる一話完結。
 お店を経営する夫婦はどこから品を仕入れてくるのか、ここで何かを買った人はなにかしら奇妙な体験をする。

 ただそれは、あっと驚くものじゃない。人によっては気づかないくらいの、ささやかな不思議。

 こんなお店、いってみたい。でもそれは多分、実家のあの古道具屋さんの常連になるくらい可能性は低い。のだろうなあ、多分。

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2006年12月27日 (水)

PLUTO -浦沢 直樹,手塚 治虫

PLUTO 1 (1) 【豪華版】 ビッグコミックススペシャル Book PLUTO 1 (1) 【豪華版】 ビッグコミックススペシャル

著者:浦沢 直樹,手塚 治虫
販売元:小学館
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天才...

 この方のマンガは文句なく面白いけど、間違いなく連載は長いに違いない。

 そう思って、「20世紀少年」も「MONSTAR」も買わずにすませてきたというのに。

 この「PLUTO」だけは耐えられませんでした。

 1巻の表紙。浦沢さんらしい絵で挑むようにこちらをみる半分の顔。主人公、ゲジヒトをみたら、気になって気になってつい購入。 

 今、4巻まで発売されています。

 

 手塚治さんの話は、「火の鳥」、「七色いんこ」、「ブラックジャック」等が好きで、アトムはしっかり読んだことはありませんでした。

 「PLUTO」の原作になっている「地上最大のロボット」をまず読みました。

 案外シンプルだな、と思いました。

 だからこそ、難しいだろうな、と思いました。

 

 気に入ったアニメの、原作をみたら案外シンプルだった、ということは実はよくあって、

 拍子抜けしながらも、その素直な種から、その素直さを消さないまま上手に育てた監督に驚嘆します。そしてシンプルなのに間違いなくチャレンジしたくなる種をまいた原作者にも。

 ちなみに種を育てるのが上手な監督が、種をまけるかというと別の話。

 気の毒だけど、種を育てる人が種から作った作品ですばらしかった、というものはめったに会いません。

 今回はその逆だから、ちょっとは安心。いや安心どころか大いに期待。

 種をまける浦沢さんは、まかれた種を育てるどころか、品種改良までしてしまった。

 それはただ味をよくするためでなく、力強く育つための改良。

 原作を読んでいるというのに、続きが気になってたまらない。 

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2006年12月17日 (日)

百鬼夜行抄 -今 市子

百鬼夜行抄 (1) Book 百鬼夜行抄 (1)

著者:今 市子
販売元:朝日ソノラマ
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祖父、蝸牛の作品をちょっと読みたくなる

 梨木果穂さんの「家守綺憚」でもそうですが、古い家に住んでいると、何かいるのは当たり前と思ってしまいます。

 具体的な何かをみたことがある訳ではありません。

 夜中に猫の視線がうごく。

 家鳴りが頻繁に起こる。

 集中力が途切れた時、集中していた間に耳元で誰かが話していたような気がする。

 その程度です。でもその程度の積み重ねが、不思議を不思議にさせなくする。

 

 ただの古い家でもそうなのです。

 「百鬼夜行抄」の主人公、律のように、「見えてしまう」上に怪奇小説家の祖父がいたなら、その家に何かが集まってくるのは絶対です。

 この話は、幻想的な話にありがちな「仲良くなる」「敵になる」ようなシチュエーションはあまりありません。

 祖父は同様に「見える」律に「しらんぷりをする」よう教えます。

 タイトルにある百鬼夜行に登場するような具体的な妖怪はほとんどでてきません。けれど確実に、そこにいる何かを、その何かが持つ特性を上手に形にする。

 昔、人と何かは、相容れなくても共存できた。そんな気がしてきます。

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2006年11月29日 (水)

記憶の技法 -吉野 朔実

記憶の技法 Book 記憶の技法

著者:吉野 朔実
販売元:小学館
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実際にあった事件がモチーフになってます

 自分の一番古い記憶は、二つあります。

 一つは、夜の海。家族がいて、砂浜で、私はよちよちと歩いて貝殻のかけらを拾いました。
 ただし家族には、海に行ったのは私が二歳の時だから覚えているはずがない、と一笑にふされ、それは夢である、とまで言われました。
 二歳頃の記憶を持っている子なんて世の中にはごろごろいる、と後々知りました。やはりあれは夢ではなく記憶なんではないかとも思いますが、信憑性はいまいちです。

 もう一つは、家の庭。真昼間に一人でいたのできっと保育園に入る前です。
 そこで私は一人で悩んでいる。

 昨日の事は覚えている。先週の事も覚えている。先月お父さんの車に乗ったことも、その前の月にお母さんとお出かけしたことも覚えている。
 そうやってさかのぼって考えていけば、生まれたときのことまで覚えているはずなのに。なんで覚えていないんだろう、どこまで覚えているっけ?

 と、一生懸命おもいだしてる、そんな思い出。
 多分このときに一番古い記憶として海を思い出し、家族に確認をとったのだと思います。

 なんというか、嫌な子どもだなあ、としかいいようがありません。

 

 「記憶の技法」は、自分の本当の家族の消息を尋ねに行き、自分が封印していた記憶を取り戻す女の子の話です。

 それは悲しい記憶だけれど、彼女はそれを、今の家族を大事に思うからこそ、知ろうと、思い出そうとがんばります。

 記憶は記憶であるということ。そして記憶でしかないということ。
 その記憶の内容に関わらず、今いる場所が家族が、間違いなく今の自分の帰るところだと。心の底からそう思ったとき、彼女はようやく安心して、悲しい記憶を思い出します。
 そして、悲しくない記憶も一緒に。

 

 私にも、もっと古い、封印した記憶があるだろうか。なんて考えたりもしますが、あの暗い海と、明るい昼間の懐かしい庭の記憶以外にはやっぱりありそうもなく、そのことに、ちょっとだけほっとします。

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2006年11月20日 (月)

リアル -井上 雄彦

リアル 6 (6) Book リアル 6 (6)

著者:井上 雄彦
販売元:集英社
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ようやく6巻発売

 団体競技、特にボール系は苦手です。

 ミニバスケットボールに所属していた3年間は苦痛でしかありませんでした。全くセンスがないことは、バスケ馬鹿の兄に言われるまでもなく知ってます。

 完璧な個人プレーが許される一部の天才をのぞいて、通常、団体競技の上手い下手というのは、敵味方に限らず、周りの動きが読めるか否かにかかっています。

 日常生活でも空気が読めず、しかも、読めないのならばいっそ空気そのものをかえてしまえ!という力技を仕掛けては、成功したり失敗したりをくりかえしている私にはできるはずもないのです。

 と、思っていたのですが、どうもそれは言い訳のようで。

 「リアル」に出てくるバスケ馬鹿達は、主人公も含めて、社会適応能力ゼロに等しい人達ばかり。
 それが、バスケをする時だけは団結する。バスケができるためならば、と、努力も妥協もしてしまう。
 そこでは、高校辞めちゃったからだとか、病弱だからとか、車イスだからという、さまざまな事柄は、事柄としてだけで、バスケができない理由にも言い訳にもなっていません。
 バスケが好きだから。そしてそれだけがバスケをする理由になっています。 

 認めます。
 バスケが苦手なのは、きっとバスケが好きになるより先に嫌いになっちゃたから。そしてバスケよりもっと、好きなことがあったから。

 大好きな事をするのに、それをさえぎる理由なんて何一つだってないのです。

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2006年10月26日 (木)

のだめカンタービレ -二ノ宮 知子

のだめカンタービレ(1) Book のだめカンタービレ(1)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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はやってますね...

 「のだめカンタービレ」。面白いのだけど、去年、友人から借りたときにはよもや、こんなに人気がでるとは思わなかった。

 ドラマ版はラストの曲が「ラプソティ・イン・ブルー」なのがお気に入り。原作に忠実ならいいってわけじゃないけど、クラシックが楽しめるという点では、いい番組だと思う。

 

 この話のなかで、主人公のだめが持ち込んだコタツのおかげで、隣に住むイケメンな先輩の生活は見事に自堕落になっちゃうエピソードがある。

 イケメンな先輩は一流どころのおぼっちゃま。でもやっぱりコタツの魔力には勝てないらしい。

 結局、コタツを捨てちゃうのだけど、電気コタツだからできること。

 

 実家のコタツは堀ごたつ。だから各部屋のじゅうたんにはバッテンの切れ目がある。

 寒くなると切れ目をめくり、半畳の畳をあげる。畳をあげた下には囲炉裏によく似た炉が埋め込まれていて、そこにコタツやぐらを設置する。

 20cmほど低くなっているその炉の、火鉢(カメ?)部分の灰を取り替えたら、ガスコンロで熾した木の炭を入れて籾殻の炭で覆う。炭の上に網をかぶせたら準備完了。

 掘りごたつ、は、腰掛けるタイプとは限らない。あれは明治に外人さんが考案したらしく、多分、昔は実家にあるような、床と対して高さが変わらないものが多かったのだと思う。

 だから、電気コタツのようにもぐりこむこともできる。よくもぐって寝てしまった。ただし必ず夜中に眼が覚める。

 火種は上手な人だと次の日まで残るけど、下手だと次の日どころか炭が灰になる前に消える。私は下手だった。おかげで氷のように冷たくなったコタツの寒さで眼が覚めるのだ。

 

 この間、寒くなったので電気コタツを設置した。

 スイッチ一つですぐ温かくなるから、帰宅してとりあえず足を入れ、

 一酸化炭素中毒ややけどの心配もないから安心してもぐりこみ、

 火種が消えるなんてことなく温かいから、一晩中そのままぐっすり。

 

 よもや、こんな理由で昨日、ブログの更新をしなかったなんて誰も思うまい。

 自堕落な生活に陥りたくはないけど、いとしいコタツは捨てられないなあ。

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2006年10月22日 (日)

イティハーサ -水樹 和佳子

イティハーサ (1) Book イティハーサ (1)

著者:水樹 和佳子
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

中途半端なファンタジーなんて目じゃない

 ゲーム、特にRPG系をやっていたり、アニメをみたりしていると、技や魔術、名称の元ネタがかいまみえる事があります。

 元ネタを知っていると、余計に楽しみがふえる気分は私だけかなあ、と思いつつ。元ネタをあるとも知らない人には、元ネタを知る楽しみも知ってほしいなあとも思います。

 だってごくたまに、元ネタを知らずに楽しんで、その元ネタにあたったりすると、あっ、と思うもの。

 今まで多いのは、やはりヨーロッパの神話や古典ファンタジー。アーサー王やギリシア神話、指輪物語なんかがほとんどでしたが、最近は、和物の話も増えてきて、やっぱり元ネタの伝説、古典を知っていると、ちょっと楽しいです。

  

 元ネタになる話はあたりまえだけど元ネタがない。あっても土着の民話だったりしてほとんど作者オリジナル。

 そういう話には、やっぱり感嘆のため息をつくことが多いです。

 その世界観、そのイメージの大きさに、圧倒される。それを作れる人を、心の底から尊敬する。

  

 「イティ・ハーサ」は、一応、古代の日本らしい場所が舞台です。けれど、浅学な私には元ネタは見つけられませんでした。

 神だけが持つ名前、「神名」を持つ国での伝説。

 目にみえぬ神々と、善悪で対立するみえる神々。それぞれを信じる、戦う人々と、戦わぬ人々。

 その独特の世界観、そしてたどり着く思想は、今までみたこともないものでした。

 一神教でもなく、善悪二元論でもなく、混沌でもない結末。

 少し、萩原規子さんの「空色勾玉」を思わせました。

 どちらももはや、SF、子供向け小説のジャンルではせますぎるように感じるからでしょう。

 伝説に等しい物語だと思います。

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2006年10月 7日 (土)

耳をすませば

耳をすませば DVD 耳をすませば

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2002/05/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

優しいい気持ちになる

  

 何がどう、というわけではありません。

 中学生の女の子の、ささやかな日常の話です。

 

 かつて私も中学女子だったので、彼女の気持ちはわかります。

 詩や小説を、友達同士で何かを作って、得意げに披露してみたり、

 ちょっと大人びたお店で、みつけたお気に入りの雑貨を、みるためだけにそのお店を訪れたり、

 自転車をこいでみる風景を、当たり前と思いながらも、いつもいつも感動しちゃったり。

 好きな男の子に、好きとつたえるより先に、好きと感じるその前に、その男の子の友達としてふさわしくなければならないとがんばっちゃったり。

 

 何もかもが、なんてまっすぐで一生懸命だったのだろうと思わずにはいられません。あの頃と、決して自分が大きくかわったとは感じたことはないのに、そんな風に懐かしく思っちゃうのは、自分が今ちょっとへたれているからなのかもしれません。

 

 この、「耳をすませば」の主人公の女の子とイメージがかぶる、というような事をいわれたことがあります。そのとき、私はすでに社会人でした。

 悪い気は、しませんでした。

 しませんが、言った相手が、誉めるつもりでいったのかそうでないかは判断はつきにくい。

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2006年10月 6日 (金)

四国はどこまで入れ替え可能か -佐藤 雅彦

四国はどこまで入れ換え可能か Book 四国はどこまで入れ換え可能か

著者:佐藤 雅彦
販売元:新潮社
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マンガ...になるんだろうなあ、一応。

 タイトルでやられてまず手に取りました。やはりタイトルは重要です。

 中身は、「ねっとのおやつ」の四コママンガ。作者はピタゴラスイッチ、ポリンキー等で有名な佐藤雅彦さんです。

 素朴な疑問、素朴な笑いを誘うほのぼのとしたこの本を一気に読むのは必死でこらえて、今、お昼休み用にしています。

 こういう、何も考えずに楽しめる本、貴重です。

 ちなみに四国がどこまで入れ換え可能か? この疑問の「どこ」とはどういう意味なのかをそもそも私はよくわかってませんでしたが、答えをみて何分かあとにじわじわ笑いました。 

 答えは書店にてお楽しみください。

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2006年9月24日 (日)

はれた日は学校をやすんで -西原 理恵子

はれた日は学校をやすんで Book はれた日は学校をやすんで

著者:西原 理恵子
販売元:双葉社
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他の本も好きです

 普段おちゃらけている人だって、悩みがないなんてわけはない。

  

 明るくしているからといって、心配ごとがないとは限らない。

 

 勉強ができないからといって、何も考えていないわけじゃない。

 

 悪い事をしているからといって、自分勝手なわけじゃない。

 

 誰だって同じだけ、考えて悩んで泣いて笑ってる。

 

 ただ、それをみせるかみせないだけで。

 

 西原理恵子さんの漫画は、素敵な、でも、生きづらい性格の登場人物ばかりでる。

 多分誰もが、「私みたいだ。本当は私もこうなのに。」と共感するだろう。

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2006年9月13日 (水)

ベル・エポック -逢坂 みえこ

ベル・エポック (1) Book ベル・エポック (1)

著者:逢坂 みえこ
販売元:集英社
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働く女の人ならきっと好き

 しらないうちに、ワーカホリックになっていました。

 残業は当たり前。残業がない日に、他の人が残業しているのをみると、なんとなくとりのこされた気分になっちゃうのは、我ながら間違っていると思いつつ。

 仕事に関わる勉強と称して、いろいろ調べたり試したりする事が楽しくて仕方がない、と思うとき、昔のケンブリッジ、オックスフォードの研究者たちが独身が多かった理由がよくわかります。

 研究、といっても決して嫌々であるわけでなく、自分の楽しみを追求するものなのだろうと。それに本気ではまる時、自分の時間を誰かに邪魔されたくはないだろう。そんな自分勝手な気持ちに共感してしまう自分がいます。

 「団塊世代のお父さん」を決して笑えません。

 

 それでも欲張りな事に、一日の終わりは誰かと話したい。休日は誰かとすごしたい。 
 大変自分勝手だけど、奥さんが欲しい、としみじみ思うときはそんなとき。

 

 「ベル・エポック」は、あらゆるジャンルの仕事につく、30代の独身女性達が主人公です。

 バリバリに働きながらもプライベートも大事。友人も大事。恋人がいる人もいない人も、最後は元気に、また明日をみつめます。

 一話完結ですが、キーとなる登場人物、「綺麗ちゃん」が私は好きです。以前、友達に、「綺麗ちゃん」のイメージがある、と言われてとてもうれしかった。 
 実際、私はこんなに有能でも、かっこよくもないけれどね。

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2006年8月29日 (火)

新編 性悪猫 -やまだ紫

御伽草子―マンガ日本の古典 (21) Book 御伽草子―マンガ日本の古典 (21)

著者:やまだ 紫
販売元:中央公論社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

何もないのもさみしいので...。(アフェリエイト目的じゃないから、報酬対象外でもリンクはらせてほしい...)

 

 「性悪猫」はちくま文庫ででていますが、マンガです。

 短編集で、名前もない猫達の、一人語りや、会話のたぐいばかりです。

 絵は、トーンもほとんどはられていない、手で書き込んだ、味わい深い、あったかい絵です。

  

 元野良猫が家猫になってからの、失くすものをもってしまったかすかな恐れ。

 子供を産んだばかりの母猫は、「子を産むとき、母親の私も一緒に産んだ」と言う。

 春がくるのを感じてわくわくして、布団にすりすりしたくなる気分。

 雨で淋しいから、子猫のように、砂袋のように抱いていてよ、と、飼い主に甘える日。

 

 人が主人公でもいいじゃないか、と、最初に読んだとき思いました。

 でも、人はこんな風にストレートにはものを思えない。

 猫じゃなかったら、きっとしっくりこない。

 性悪猫とは名ばかりの、物思う猫たちの気持ちはあんまりまっすぐで、素直に「そうだね」といってあげたくなる。

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2006年8月12日 (土)

ぼくの地球を守って -日渡 早紀

ぼくの地球を守って―愛蔵版 (8) Book ぼくの地球を守って―愛蔵版 (8)

著者:日渡 早紀
販売元:白泉社
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何故、8巻かというと、画像がこれしかなかったから

 人が集まるときには人は2種類にわかれると思います。

 例えば、飲み会。

 飲み会での話題のタネをまく人と、まかれるのを待っている人。

 前者は宴会好きとしばしばよばれ、
 後者は話題がふられなかったりすると、「つまらなかった」なんて簡単にいっちゃったりするタイプ。

 私は間違いなく、前者です。

 だから、正直、大勢で飲むのがしんどいときがあります。

 望むと望まざるにかかわらず、場の雰囲気で自分にあたえられた役割ってもんを感じてしまう。

 それはもしかしたら錯覚で、誰もそんなものを期待していないかもしれない。

 それでも、なるべく場を楽しくしようとあせってしまいます。

 だから、「タネをまく人」同士で飲むときは、ちょっと安心する。

 お互い、あえて、明るくする必要はないので。

  

 「ぼくの地球を守って」には、「キチェス」とよばれる特別な能力をもつキャラクターがでてきます。

 彼女は周りからキチェスとしての能力を求められますが、彼女本人は、キチェスとしての自分ではなく、彼女本人を求めてくれる相手をひたすら望みます。

 そして、そういう相手にめぐりあったのに、その相手に、最後の最後にキチェスとしての自分を求められる。

 それは誤解だったのだけど、そのときの彼女の絶望はよくわかる。

 それならば、仕方ない。相手がそれを望むなら、と、覚悟を決めるしかないのです。

 

 常日頃、私にふられている役割はつねに、「ケンカをうってくるようなきついセリフをはく、でも、いじられキャラ」です。

 今日も飲み会によばれました。

 帰り道、一人の人に、「ケンカうりすぎ」といわれました。

 うん。たしかに今日はそうだったと思う。でも、理由があるんだ。

 私がケンカをうることで、いい子キャラでいられる相手がいる。

 そんなこと、言っても仕方ないから、言わないけどね。

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2006年7月28日 (金)

永遠の野原 -逢坂 みえこ

永遠の野原 (1) Book 永遠の野原 (1)

著者:逢坂 みえこ
販売元:集英社
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登場人物たちが、きちんと成長していく

   犬は外で飼うもので、もちろん洗ったりなんかしなくて、人間の残り物おじやが主食で、散歩の代わりに、鎖を外してしばらく放置。

 と、いうような、ペット愛好家がみたら憤死しそうな飼い方で、我が家は犬を飼っておりました。位置づけとしてはペットとしての犬ではなく、番犬なのでしょう。
 今も二匹飼われてて、私が実家に帰るたびにバイクの音に過剰に反応してくれます。

 猫もまた、ペットとしてでなく「ねずみとり」のお役目のために飼われているのでしょうが、四六時中一緒にいる分どうしたって情がわくので、犬より猫派になってしまっています。

 

 この本にでてくる「みかん」という名の犬は座敷犬です。だから主人公達との生活は、私と犬の関係よりも、私と猫の関係に近い。

 ただ、犬が飼い主にしてくれる、さりげない親切や行動は、猫とはあきらかに違う。

 主人公たちを守るがごとく騒音にたちむかったり、
 いつのまにか、近くで眠ってくれるようになったり、
 自分が苦しんでるときに布団に入ってきてくれたり。

 主人公達の、一言ではいいにくい、でも、皆が感じたことのあるちょっとした心の動きを補完するように、みかんの、そんな行動がそっとやさしく描かれている。

 決して、犬中心のマンガではないのに、犬との暮らしもしてみたいな、と、ふと思ってしまう。

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2006年7月 4日 (火)

長い長いさんぽ -須藤 真澄

長い長いさんぽ  ビームコミックス Book 長い長いさんぽ ビームコミックス

著者:須藤 真澄
販売元:エンターブレイン
Amazon.co.jpで詳細を確認する

何度読んでも、泣かずにはいられない

 小学生の時にもらってきた猫は、私にとって特別だった。

 私が学校から帰ってくるのを近所の石垣の上で待っている猫だった。

 テスト勉強しているときは、居眠りをしながら、私が寝るのを待っていた。

 私のベッドを占領し、私の目の前で何度もお産をした。

 それなのに、「彼女」が死ぬとき、私は傍にいなかった。

 

 病気だったのはわかっていた。 死んじゃうのもわかっていた。

 なのに、ついていてあげなかった。

 ある朝、起きたら、眼をあけたまま、苦痛な顔のまま、固まっていた。

ごめんね、といってももう遅い。

 「長い長いさんぽ」は須藤 真澄さんが、マンガにもした家族「ゆず」が病気になり、死んでしまい、それからの須藤さんを書いた話。

 須藤さんの「ゆず」への愛情はなみなみならない。そしてそれ以上に、自分の「ゆず」への愛情への冷静さはものすごくて、誰も彼女に何もいえないだろう。

 読んで、私は「彼女」を思い出し、またぽろぽろと泣く。

 「彼女」と一緒の幸せな日々を思い出す。

 

 16歳生きた「彼女」は子供を何匹も生んだ。

 実家には「彼女」の孫が、今日もきっと冷蔵庫の上で眠ってる。

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2006年6月14日 (水)

人魚變生 -山田章博

山田章博の世界 ファンタジー アートワークス Book 山田章博の世界 ファンタジー アートワークス

著者:山田 章博
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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本当のおすすめは「人魚變生」なのだけど、画像がなかったので。

 子供の感性は優れている、とは思わないけれども、今になってから、「何故、あの頃、これに私は眼をつけたのだろうか?」と思ってしまうものは結構ある。

 もちろん、それらは今でもすきなのだけど、これだけたくさん本だのマンガだの映画だのあるなかで、「何故、これに??」と首をひねる。当時の自分の感性は、やはり今より優れているのか?

 山田章博さんの「人魚變生(にんぎょへんしょう)」のハードカバーは姉が当時の彼氏からもらったものだった。

 姉に毎夜のりうつる、死んだ妹。人間に恋するマネキンと話をする猫、貝殻骨でつくった風鈴をゆずりうける男。そんな幻想的な短編が、ものによってはたった2,3ページで語られる。

 私の中で「マンガ」と判断していいのか悩むようなその絵。線一本で女の横顔がつくられ、一筋の流れで、死んだ女の髪だとわかる。

 と、思えば、書き込みに書き込まれた小悪魔のマンガ。だけどラストの小悪魔の昇天シーンは、仏教とキリスト教が手をつないだような不思議な宗教画のようだった。

 細かく書いて書いて、途中でやめてしまったような余白がまたなんともいえず。その、昭和初期の日本とも、支那ともつかない世界に、くらくらきた。

 せりふまわしも格好よく、でてくる登場人物はみな、粋だ。粋すぎて、無駄なせりふがなくて、おかげで当時はその裏にある意味がわからなかった覚えがある。そんなところも多分、気に入っていたのだろう。

 と、べた誉めしてしまったが、現在の山田さんの著作は一冊くらいしか持っていない。

なんというか、山田さんではなく、「人魚變生」にはまったのだろうな、と思いつつ、未だに「人魚變生」は私のものではなく、実家にひっそりと眠っている。

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2006年6月 6日 (火)

うしおととら -藤田 和日郎

うしおととら (第1巻) Book うしおととら (第1巻)

著者:藤田 和日郎
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

とらと真由子のからみが結構好きだ

孔雀王、陰陽師、百鬼夜行抄、等のちょいと非現実ちっくな話は大好きなのですが。

そういう中でもさすが少年漫画系。感動ものもふまえた、うしおととらはすごく好きです。

マンガを読んで泣く事は多いけど、この本にも何度泣かされたことか。

別に妖怪がでてくるからというわけではなく、たまたま相手が妖怪なだけで、ネタそのものは人間くさい話が多いです。だから泣くポイントは、うしおのまっすぐさ加減がキーになることが多い。

ああ、がんばろうと思いたくなる。

青臭くてもいいじゃん。がんばって生きましょうかね、と青臭く感じちゃったりする本です。

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2006年5月23日 (火)

やさぐれぱんだ--山賊

Book やさぐれぱんだ

著者:山賊
販売元:アーティストハウスパブリッシャーズ
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脱力系かね

本屋で衝動買いしたのですが、
結構ヒットです。

ネタをかけないのが、ああ、つらい。と思うほど、笑えるネタが結構あります。

好き嫌いはげしいかもしれないけど。

でも、これ、HPで公開されてたネタを集めたものらしく、
HPみにいったら、ログに、本にのってた以上のネタがのってました。
...なんとなく、損した気分になってしまう。読めるのはうれしいけどさ。

そんな、作者のHPは こちら 山賊さんのHP 

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2006年2月14日 (火)

彼女の食卓-志村志保子

女の子の食卓 1 (1) Book 女の子の食卓 1 (1)

著者:志村 志保子
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 私の好むマンガには隙間が多い。

 映画ならコマ割り、小説ならば行間とでもいうのだろうか。すとん、と気持ちが落ちてくるのをうけとめるようなコマがある。それは空白だったり、風景だったり。

 少なくとも日本語では、その感情にあてはまる言葉がない。でも誰でもきっと知っている感じたことのあるちょっとした心の動きを表現しているマンガが好きだ。
 そのジャンルに関しては、小説より映画よりマンガの方がより、ストレートに感じるのは、その隙間のせいだろうと思う。

 吉野朔美さん、竹坂かほりさん、逢坂みえこさん。みなその隙間を書くのが上手だ。

 で、志村志保子さん。
 デビュー作かその次の作品を読んだとき、一発でファンになった。そのまた次の作品を読んだとき、生まれてはじめてファンレターを出したいと思った。
 この人の書く世界は地味だから、きっと固定ファンがつきにくいだろう。もしかしたら漫画家をやめてしまうかもしれない。それは困る。せめて、ここにあなたのファンがいるという事を伝えてあげたい。
 わらっちゃうほどおこがましいけど、そんな事をまじめに考えた。笑っちゃう。しかも結局書かなかったし、ファンレターw。

 しばらく、作品をみなかったけれど、ここのところまたかかれているようで、大変嬉しい。
 ただこの人の、初期の作品の、単行本がない。確か発売予告の広告を雑誌でみた記憶があるのだけど、現物をみたことがない。おかしいなあ。

 「女の子の食卓」は一話完結。食べ物にまつわる、個人的な話。
 私はこのなかの、バジリコスパゲティの話が好きだ。これをおかげで、私にとってもバジルは「再生」の意味を持つことになった。

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