2013年7月25日 (木)

Heaven? -佐々木倫子

このオーナーの性格がすべてだよね

「動物のお医者さん」しかり、「おたんこナース」しかり、そしてこの本も。

 佐々木さんのマンガは 大抵わがままな人がいて、それをなだめる人がいて、皆がどっぷりマイペース。

 でもあきない。ここちよい。

 佐々木さんの書く話はいつも、無駄な恋愛感情がなく、さっぱりすっきり読める稀有なものが多い。

 

 この話の舞台はレストラン。
 いろんなお客もいて、出来事があって、それを凌駕するオーナーのわがままに、プチ主人公が、なんとなくふりまわされる。
 諦観という言葉を背負うのがぴったりなプチ主人公をみていると、世の中には役割というものがあってしまうのだなあ、と、しみじみ私も諦観してしまう。

 

 しかし、日常、あまり、というか、ほとんどフレンチを食べに行く、という機会がありません。そして特別な理由がない限り、積極的に行こうとも思いません。
 みんな、そんなものだと思っていたのですが、このマンガを読む限り、人は割と気軽にフランス料理に足を運ぶみたいです。

 お財布と相談しないと入れない場所、と感じるのはもう古いのか、それとも皆、金持ちなのか、ちょっと謎。
 

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2011年11月 1日 (火)

多重人格探偵サイコ  -田島 昭宇,大塚 英志

多重人格探偵サイコ (1) (角川コミックス・エース)
ペンでさらりとかかれた画がなお、えぐい

 「パタリロ」の最初の方のコミックスには、巻末にパタリロとは全く異なる短編がついていて、不思議怖いその短編が、私は結構好きでした。
 
 その中のひとつに、誰も真似できないほどの花を咲かせる花屋の話がありました。
 
 「サイコ」の一巻を読んだとき、その話を思い出しました。
 
 ぎょっとなりました。
 
 ぎょっとした理由は、「人間を含む生き物を養分にして花を咲かせようという考えを思いつく人が他にもいるんだ」ではありません。

 「この作者はもしかして、パタリロのあの話を読んだのかもしれない。そして、ちょっとやってみたい、なんて思ってしまったのかもしれない。私のように。」と、感じたからです。
 そして、やってみたい、なんて思ったかつての自分を思い出したからです。
 
 
 そのエピソードは「サイコ」の本筋とはあまり関係はありません。
 
 「サイコ」は、多重人格の果てに生まれた特別な人格「雨宮一彦」をめぐる物語です。
 
 でもこの、規制がかからないか心配になるような思想や、エグいシーンのはずなのに綺麗にみえてしまう画はどうしても、パタリロのあの話を思い出さずにはいられない。
 
 
 
 
 

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2011年10月 8日 (土)

・・・すぎなレボリューション -小池田マヤ

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四コマだけどストーリーあり

 小池田マヤさんを最初に知ったのは、多分、実家に帰るとき。電車で読もうと買った四コマ雑誌に書かれていたかと思います。
 
 この漫画ではありませんでしたが、きちんとした絵で読みやすく、話も面白かったので覚えていました。
 
 この漫画はたしかネットカフェでみつけて読んだのがはじまりだったかと。
 
 OLが、綺麗になり、社内恋愛をし、トラブルに巻き込まれてゆく、という、ベタといえばベタな話ですが。
 
 主人公が三十路の地味なOL、しかも処女。しかもストーリーの出だしが、飲み会で酔っ払って朝起きたら、どうも会社の誰かと初体験してしまったらしい、というあたりが、ちっともベタではありません。
 
 しかも主人公、相手を探そうとするあまり、社内の社員複数と間違いおこすわ、経験が少ないからといってHビデオを山ほど借りて勉強するわ。
 
 なまじっか、真面目で生きてきた分、暴走っぷりも半端ない。
 
 その、「真面目なだけに暴走する」ところが、どこか自分に似ている気がして、ちょっとへこみつつ、共感を持ってしまう。
 
 そして、主人公の初体験の相手を含めた会社の面々。恋敵や同僚OLのちょっとした態度、気持ちの描写が、笑える部分も含めてすごく「わかる」。
 
 社会人であれば、経験するだろう、ほんのちょっとした事。でもあえて気にしなかったところを、小池田さんは上手にすくってとりあげている。
 
 
 四コマ仕立てですが、基本は続き物のストーリーです。いやいや、それはないだろう、と、つっこみを入れるような展開もありますが。
 
 それでも。なんか、いいな。と思ってしまう。
 
 三十路が夢をみたっていいじゃないか、ベタな事をしても馬鹿な事しちゃってもいいじゃないか。
 恋愛でじたばたするのも仕事でじたばたするのも、一生懸命なんだもの。仕方ない。うん。仕方ないよね。
 
 そんな風に主人公を弁護したくなってしまう。
 
 

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2011年8月 3日 (水)

聖☆おにいさん -中村 光

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)
ためになるといえなくもない

 宗教関連は、心のよりどころにする心境には未だなってはいませんが、学問としては興味があります。
 
 だから、人よりはおそらく、仏教の事もキリスト教の事も知っているほうだとは思いますが。
 
 よもや、それが漫画を読む時に役に立つとは思いませんでした。
 
 
 この漫画の主人公は、仏陀とキリストです。
 
 世紀末を無事に終えた彼らは、日本の東京都立川市で、しばしの休暇をすごす事にした。それがこの漫画の前提。それがもうだいぶおかしい。
 
 彼らは質素なアパートに住み、質素に暮らそうとはしますが、でも油断をすると、動物が犠牲になろうとするわ、皿がパンにかわるわ、水はワインに変わる。
 
 家庭的なブッダと、ジョニー・デップ似といえなくもないお茶目性格のキリストの、一見まじめな会話、でも笑いネタは、それぞれの宗教を背景にしているので、その知識があると余計笑える。
 
 もう6巻まで発売されていますが、ネタはもちろんつきません。
 
 すごいなあ、と思いつつ、もっとすごいと思うのは。
 
 これ、それぞれの宗教界から怒られないのだろうか、いや、ほんとに。

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2011年7月 1日 (金)

積極‐愛のうた‐ -谷川史子

積極―愛のうた― (クイーンズコミックス)
ストレートに心にくる暖かさ

 優しい気持ちも、悲しい気持ちもどれも暖かく、でもまっすぐに心に入る。
 
 谷川史子さんの漫画はいつもそうだ。 そのまっすぐさといったら、槍にさされたよう。
 
 なのに、ソフトだ。鋭すぎない。
 
 女の子の投げるボウリングの球のようだ。ゆっくりコロコロ転がるくせに、きれいにパタパタとピンがくずれてゆく。
 
 同じように感情がパタパタと倒されて、いつのまにか、号泣してしまう。
 
 
 この漫画は短編集ですが、タイトルにもなっている「積極 -愛のうた-」が一番のお気に入りです。

 それは亡き妻を愛する老教授と、彼を慕う助手の話。

 物腰柔らかな教授の、でも頑固に自分をつらぬくところも、
 
 そんな教授になんども挑戦する助手の、自分をきちんとみつめる素直さも、

 どこまでも奥ゆかしくて、泣けてきます。

 
 
 この物語は河野裕子さんの短歌がキーになっています。
 
 漫画も歌も、ずっと覚えていたい、

 そう思える、素敵な歌でした。
 
 
 そう思わせるほどに、この歌にぴったりマッチした、素敵な漫画でした。

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2011年6月12日 (日)

ルウルウはちいさなともだち -小沢真理

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)
画像がなかったので、代わりに元ネタを。

 「借りぐらしのアリエッティ」が公開されると知った時、思い出したのは原作の「床下の小人たちではなく、小沢真理さんの漫画「ルウルウはちいさなともだち」でした。
 小沢さんのこの漫画も、元ネタというか、下地は「床下の小人たち」。  
 日本の家に住み着いた借り暮らし、ルウルウが、病弱な女の子と仲良くなる話です。
 
 ただ、原作の持つ、イギリス独特のちょっと「湿った感じ」はこちらの話にはまったくなくて、少女らしい、かわいらしい話。
 この話が雑誌に掲載されたとき、私は中学生で、小沢さんの書く、人間の物を活用しまくったルウルウの部屋がかわいくてかわいくて、夢中になりました。
 ドールハウスなんかより、もっと、この「借り暮らしの部屋」をすごく再現したかった。
 
 「借り暮らしのアリエッティ」はまだ観ていませんが、おそらく私の中では、この「ルウルウ~」には勝てないと思います。
 小沢さんの、メモのような説明書きつきのあの部屋と、ルウルウのこまっしゃくれたかわいさは中学生の頃だったから余計印象強かったのだし、第一、テーマの違うアリエッティがそのかわいさを持っているとは思えないもの。

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2011年6月 8日 (水)

パエトーン -山岸涼子

ブルー・ロージス―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)
現在、無料で閲覧ができますが、こちらの本にも掲載されてます

 福島原発問題が発生したとき、まっさきに思い出したものは、山岸涼子さんが書かれた「パエトーン」でした。
 
 原子力発電所の存在を疑問に感じながらも、そもそも原発の仕組みとはどういうものなのかを、マンガで実にわかりやすく説明されていた。
 
 もう20年以上前の作品のようですが、山岸さんの、勇気ある行動と原発の恐ろしさをしみじみ感じた覚えがあります。
 
 この「パエトーン」が現在、特別公開として無料でWEB閲覧ができます。

 特別公開 山岸涼子「パエトーン」 

 まったくの素人が「原発の全てが悪い」とは言い難い。 電力の恩恵をうけている一人として、責任は自分にも必ずある。
 
 だからこそ、節電でもなんでもするから、どうか、安心を増やしてほしい、と思います。

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2011年5月30日 (月)

月の子 -清水玲子

月の子 (第1巻) (白泉社文庫)
ラストのせつないまでの美しさ
 

 福島の、原発事故がきっかけで、チェルノブイリの原発事故についてをウィキペディアで読みました。

 それで、現在も、根本的な問題が解決していない事を知りました。

 それから、「チェルノブイリ」という単語は「にがよもぎ」という意味であり、これが黙示録に書かれているということが、都市伝説であることも。
 
 

 「月の子」は人魚姫の子孫たちの話です。

 宇宙全体を海とみなし、地球を産卵場所にしている彼らにとって、人間と恋に落ち、そのうえ裏切られる事、本来、結ばれるはずだった人魚同士が結ばれない事は、その産卵場所を汚す事になる。
 
 人魚姫は、その禁忌を犯したために人魚たちは酷い目にあっていた。
 
 それから100年後、人魚姫の子ども達は産卵のためにかえってくる。今度こそ、間違いをおかさないように...。
 

 「月の子」は、結果的には「起こらなかった」チェルノブイリ事故の話です。
 
 けれどラストで、主人公は夢に見る。「起きてしまった」チェルノブイリと、その後の地球を。
 
 頭のどこかで「遠い場所の出来事」と思っていた、あの頃とは違い、今は心の底から思います。
 
 どうぞ、悲しい未来にはならないように。これが最初ではありませんように。

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2011年5月20日 (金)

テルマエ・ロマエ-ヤマザキマリ

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス) テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

著者:ヤマザキマリ
販売元:エンターブレイン
発売日:2011/04/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これを実写化するとは…

  温泉よりも、どちらかというと「スーパー銭湯」がすきな、似非温泉好きです。
 にごり湯、ジャグジー、電気ぶろ、サウナに岩盤浴。効用があるのかないのかわからないワイン風呂や、天井があいてるだけじゃん、とつっこみをいれたくあるような露天風呂だって魅力です。
 とりあえず全種類を入らずにはいられない。いや、入らないでいられる人が不思議でならない。
 アミューズメントパークお風呂版。私にとってはディズニーランドよりも魅力的。
 でも、「テルマエ・ロマエ」を読んでから、普通の銭湯や、もちろん温泉も行きたくなりました。ついでにできるのならば、古代ローマの公衆浴場も。

 主人公は古代ローマの浴場設計者。
 水に落ちるたびに、現代日本の銭湯や温泉に移動してしまう彼は、日本人を「平たい顔族」とよび、その風呂レベルと意識の高さに、おののきます。
 風呂場に描かれた絵画、洋服を入れるかご、温泉をそのまま露天で入る発想、そしてこの世のものとは思えない美味さのフルーツ牛乳、温泉卵。
 彼の驚愕っぷり、そのまじめっぷりったら、ない。まじめすぎて笑える。笑った後に、ふと気付く。 そうか、古代ローマ人にとっては、これは脅威なほどの高度な文明なんだよね、と。

  現在3巻まで発売されてるこの漫画。見事なまでに毎回、風呂ネタです。よく続くなと思います。よく続くな、と思う反面、もっと続いてほしいとも思う。
 それほど、読むたびに「日本のお風呂ってすばらしい」って思えるから。

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2008年4月 2日 (水)

再掲 -長い長いさんぽ

長い長いさんぽ ビームコミックス

長い長いさんぽ ビームコミックス

著者:須藤 真澄

長い長いさんぽ  ビームコミックス

春は別れの季節だと、わかっていても辛すぎる。

 生まれたのは初夏の頃。物置の中でした。

 お母さんはきれいな三毛で、私は黒トラでした。黒と茶トラの兄弟と、時折みかける大きな人から隠れるように遊びました。

 柱で爪とぎしてた時、通りがかった大きな人と眼があって、私はその場で凍りつきまして。怖くて怖くてぶるぶる震えて動けません。大きな人は、どこかへ行った後、白い飲み物をくれました。

 

 ある日、お母さんについて、大きな人のところへ行きました。

 黒と茶トラは平気みたいだけど、私は怖くてたまらない。いつも首をすくめてひるんじゃう。

 でもここにいる大きな人は優しくて、背中の毛をがしがし箒で掃いてくれて、気持ちよくって大好きでした。

 

 黒がいなくなりました。

 探したけれどみつかりません。お母さんは、よくある事よ、と言いました。

 気がついたら、箒で掃いてくれた人も、姿をみせなくなりました。

  

 私がお母さんと同じくらいになった頃。

 お母さんの、声とそれから綺麗な目が、壊れて使えなくなりました。

 おばあさんはそんなお母さんを邪魔にするので、私は怒ってやりました。

 茶トラは旅に出てしまって帰ってこないので、

 私はお母さんといつも一緒にいるようになりました。

 

 ある日、おばあさんは薬の匂いをさせるようになりました。

 ますます嫌いになったけど、その後、すぐにいなくなりました。

 お母さんには何も言わなかったけど、きっと気づいてた。おばあさんの足音に敏感だったのはお母さん。

 

 お母さんが怪我をしました。

 大きな人に抱えられ、薬の匂いをさせて戻ってきた時は、とても心配になりました。

 でもお母さんは元気になって、気配で私を探し当て、見えない目を私にむけます。

 お母さんはすごいです。

 

 でもある日突然。

 お母さんもいなくなりました。

 たくさんたくさん探したけれども、見つかりませんでした。

 たくさんたくさん呼んだけれども、返事はありませんでした。

 

 それから私は一人です。

 

 二度だけ恋をして、二度ほど子供も産みました。

 子供はすぐに連れ去られ、私はお母さんが、よくあることよ、と言ったのが、やせ我慢だと知りました。

 一度大きな人が私を薬の匂いのする場所へ連れてゆき、それから私は恋をしていません。

 

 大きな人たちは、私を時折構うけれど、昔ほどではありません。

 たまにだっこをされるけど、いつもちょっとだけ怖いです。

 時折逃げちゃうけど、そんな時には少しだけほっとします。

 かまってくれる人はいなくなるから。優しいのに慣れるとさみしいから。

 

  

 なぜ、こんなことを思い出してるのでしょう。

 さっきまで背中がいたくって、叫んだ声もかれはてて、それどころではなかったはずなのに。

 今だって、大きな人の膝の上にいて、いつもだったら怖くてびくびくしちゃうはず。

 

 なのになんだかいい気分。

 背中も今は痛くない。いつも眠る、冷蔵庫の上にいるみたいに身体はあったかい。

 気持ちいい、と思った時。春の湿った土の香りと一緒に、お花の香りをかぎました。

 これは梅の木。庭の隅で今、咲いている花。いつも居眠りをすると決めてる場所の香り。

 そしてお花の香りの向こう側に、お母さんの香りがしました。

 お母さん、お母さん、お母さん。

 私、ずっとさみしかったのかもしれません。

 

 今日は暖かいから、いつもの広場で眠ろうかと思っていたけれど、

今日は猫の集会があるけれど。

もう、いいのです。

ふと、そう思いました。お母さんの側のほうがずっといい。

決めちゃったらなんだか眠くなりました。

今年はお母さんと春がすごせる。

梅の木と、お母さんの香りをかぎながら、そう思って嬉しくなって、

幸せな気持ちで目を閉じました。

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